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役員借入金と役員貸付金①

「役員借入金」、「役員貸付金」という勘定科目は皆さんご存知かと思います。
どちらも主に社長と会社の金銭のやり取りの額を計上する科目です。創業時や成長時によく使われる勘定科目ですが、「後で精算すればいいや」と放っといて、計上から何年経ってもそのままになっている決算書をよく目にします。果たしてそれは本当にそのままでいいのでしょうか。
今回はこの「役員借入金」について徹底解説していきます。

1.役員借入金とは

「役員借入金」とは会社が役員、主に社長から借りたお金です。「借りた」と言っても銀行からの借入のように契約を交わして金銭の交付を受けて、借りた後は金利を支払って・・・といった、整然としたものではありません。
社長個人のポケットマネーを会社が拝借する、簡単なものです。ですので、契約書を交わしたり、利息を支払ったりといったことはなく、そもそもお金を返すことさえ、絶対にしないといけないわけではありません。
このように、役員借入金は「借入金」とは付くものの、非常にゆるいものなのです。
ゆるいがためについつい役員借入金に頼ってしまい、「後始末は後にしよう」と後回しにして、どんどん役員借入金が膨れ上がっていきます。

 

2.役員借入金のデメリット

さて、絶対に返す必要がない「役員借入金」。これをそのまま放っておいたらどうなるのか。役員借入金があることによるデメリットについて解説します。

(1)経営者保証の解除が困難
既存借入に経営者保証が付いている場合、「役員借入金」があると経営者保証を外すことが難しくなります。
平成25年に中小企業庁より発表された「経営者保証ガイドライン」というものがあります。このガイドラインの目的は、金融機関の経営者保証に関して行き過ぎた対応を是正するところにあります。
ガイドライン上の経営者保証を求めない要件の一つに、「資産の所有やお金のやりとりに関して、法人と経営者が明確に区分・分離されている」があります。きっちりと会社のお金と、社長個人のお金を分けている事業者は、経営者保証を無しにしても良いと言っています。
逆に言えば、社長個人のお金と会社のお金がごちゃ混ぜになっている会社は、経営者保証を外すことができないと言うことができます。
このようなところを背景に、貸借対照表上に「役員借入金」が載っていると、金融機関は経営者保証の解除に対して渋い対応を取らざるを得なくなります。

(2)金融機関の心象が下がる
役員借入金は、基本的には借入ではあるものの、元は社長個人のお金であり、絶対返さないといけないわけではないお金です。金融機関としては役員借入金は実質的には借入金ではなく、純資産と同程度の扱いとして、純資産振替または役員借入金分を負債から除いてくれます。そのため、借入の審査にあたって、さしずめ大きな問題になることはありません。
しかし、過度な役員借入金は怪しいと思われ、社長が消費者金融からお金を借りて横流ししているのではないか、不正なやり口でお金を儲けその金を会社に回しているのではないか、余計な詮索がなされます。結果、金融機関からの心象が下がるといったケースがあります。

(3)相続税の課税対象
会社目線ではなく個人目線で見た時に役員借入金があると問題が発生することがあります。それは、役員借入金は相続税の課税対象になる点です。
会社経営をしている社長は潤沢な財産を持っている場合が多く、平成27年より相続税の基礎控除が下がっているため、相続税が発生するケースが比較的あります。
役員借入金を放置していたがために、相続税が莫大な金額となり相続人が支払に苦労するといったことが生じてしまいます。

 

以上、役員借入金について見てきました。放置しておくことで、どのようなデメリットが生まれるかご理解いただけたかと思います。
役員借入金の返済、資本金への振り替えなど、役員借入金を消す方法はいくつかあります。
しかし、こうしたことは、お金を借りる、事業承継時といった何かしらのイベントがある時になって、ようやく重い腰が上がるものです。
銀行からお金を借りることを見据えて役員借入金も整理しようか、そんな時に弊社を思い出していただければ、資金調達方策と役員借入金の対応策の両方をまとめてご支援いたしますので、お気軽にご相談ください。

次回は「役員貸付金」の方を徹底解説していきます。

 

 

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