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経営者保証改革プログラムとは①

2022年12月、金融庁より「経営者保証改革プログラム」の策定が発表されました。このプログラムの策定目的としては、民間金融機関による融資に関し、保証を徴求する際の手続きを厳格化することで、安易な個人保証に依存した融資を抑制するとともに、事業者・保証人の納得感を向上させるところにあります。

全4回にかけて、この「経営者保証改革プログラム」について解説していきます。
第1回は、経営者保証がそもそも法律上どのような位置づけにあり、実際にどのようなことが起きるのかなど、経営者保証の根っこの部分を解説していきます。

 

1.保証人とは

融資における保証人は、基本的には債務者が返済できなくなった時に、代わりに返済する責任があります。経営者保証で言えば、会社の借金を会社の資金だけで返済できなくなった時に、経営者が会社に代わって返済することになります。

この保証人というものは、民法上、「保証人」と「連帯保証人」の2つに分かれます。どの金融機関でも保証人を付ける際は、大抵が「連帯保証人」として保証人を付けることになります。

 

「保証人」と「連帯保証人」の違いは何でしょうか。

簡単に言えば、「連帯保証人」の方が保証の責任の範囲が大きくなります。
具体的には、以下の3つが異なります。

①「連帯保証人」は債権者(金融機関)から返済の請求を受けた時は、すぐに返済しなければなりません。一方、「保証人」は債権者から請求されたとしても、まずは債務者に請求してほしいと拒否できる権利を持ちます(法律用語では、催告の抗弁権がないといいます)。

②「連帯保証人」は債権者から自身の財産等の差押えなどの強制執行を受けた時は、それに応じなければなりません。一方、「保証人」は債権者からの強制執行を拒否できる権利を持ちます(法律用語では、検索の抗弁権がないといいます)。

③「連帯保証人」は、連帯保証人が複数人いたとしても債務全額に対して支払い義務があります。一方、「保証人」は保証人が複数人いればその人数で等分した金額に対して責任を負います(法律用語では、分別の利益がないといいます)。

 

このように、「連帯保証人」の方が責任が重たくなっており、ほとんどの金融機関は「連帯保証人」として保証人を付けることとなり、保証人は弱い立場に立たされることとなります。

 

2.保証人の影響

1.で見たように、融資上の保証人はほぼ連帯保証人です。
保証人となった時、どのような影響が起きるのか、段階を追って見ていきたいと思います。

①順調に返済が出来ている時
会社で借金を滞りなく返済出来ているのであれば、いくら連帯保証人といえども、何か特別な請求が来るということはありません。

②返済が滞り出した時
会社の資金繰りがうまくいかず返済が滞り始めた時は、その滞っている期間にかかってきます。滞り初めて1か月~3か月くらいは金融機関から保証人に対して請求がいくことはあまりないでしょう。しかし、3か月経過した頃から、金融機関から督促状が届き始めるでしょう。届いた時は、経営者の個人としての貯金を取り崩したり、有価証券を現金化したりして、金融機関に返済しなければなりません。

③返済の延滞が長期化した時
延滞が長期化した時、金融機関は経営者の個人としての預金口座を差押えたり、場合によっては自宅を競売にかけたりします。自宅が競売にかけられれば、当然家族全員が露頭に迷うことになり、最悪一家離散になります。

 

以上、初回は保証人の怖さについて知っていただきました。

このようなことが事業者にとって足かせとなって、融資を避ける→新たな事業展開をしない、といった流れとなっており、事業者の大きな成長を阻害する要因となっています。そのような現状を見て、国も何とか打開できないかといろいろと画策しているところであり、その一つが「経営者保証改革プログラム」となるわけです。

次回からはいよいよ「経営者保証改革プログラム」の中身に迫っていきます。

 

 

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